雪の日
朝起きたら、一面真っ白な世界。
ベランダから顔を出してみたら、ひんやりとした冷気に包まれた。
すぐに止むと思った雪が1日中降っていた。
バレエのお稽古に向かうので、厚めの服にコート、
タイツの上に靴下を重ねて、帽子にマフラーという厳重体制。
吹雪の中、傘をさしながら滑らないようにゆっくりと駅へ歩く。
雪でもバレエの稽古に行くわたしは、
暇なのかまじめなのか・・・と思いつつなるべく真っ白な雪の上を歩く。
そしたら、サクサクと自分の足音が聞こえてくる。
凍りつくような寒さなのに、なぜか心がはずむ。
車窓から雪に包まれた街に見惚れながらスタジオに到着。
雪のせいもあって、バレエのレッスンにくる人は少なかった。
五反田のスタジオは天井が高く、窓も大きいので開放感が抜群。
吹雪と一緒にクラシック音楽を乗せて踊るバレエもなぜかドラマチック。
冬の雨は重たくてなんとなく倦んでいる気がするのに、
雪だと俄然と雰囲気が変わって、すべてが非日常的に思える。
雪が降ると、電車はすぐ止まるし、地面が凍って滑るし、
雪が溶けたら汚くなって全然ロマンチックじゃないとわかるけれど、
ついついうれしくなるなんてわたしはやっぱり南の国の出身だなぁ。
帰り道、顔を上げて思いっきり雪の匂いがする空気を吸い込んで、
まつげで舞い散る粉雪を受けとめる。