奥山貴宏さんの生き方

先週の土曜日、たまたまNHK教育テレビ「オレを覚えていてほしい」という番組がやってました。
途中から見たので、最初はわからなかったですが、
ライターの奥山貴宏さんは、'02年に肺がん罹ってしまい、
自分自身の闘病記を描いた、という内容でした。

ドキュメンタリーなので、生々しいというか、衝撃的というか、
途中から見たにもかかわらず、番組に釘付けてしまいました。
奥山氏は医者からあと2年の余命を告知されて、
がんと闘いながらも仕事をこなし、小説を書き、HPの日記も更新していました。
奥山氏が亡くなるまで体力のある限り、書いていたそうです。
自分の死を直面しながらも執筆に没頭した奥山氏の姿に圧倒されました。

この番組がきっかけで奥山氏のブログ「32歳ガン漂流エヴォリューション」を読みました。
33歳の若さでこの世を去った奥山貴宏様のご冥福をお祈りします。
多くの人たちに多くのことを教えてくれました。
そして沢山の人たちは、奥山貴宏様のことをずっと覚えているのでしょう。


余談ですが、この番組で昔に読んだ本を思い出しました。
台湾の人気作家、(故)三毛さんはお世話になった出版社から、
「あと1ヶ月しか生きられないなら」のタイトルで書いてほしいとのオファーがありました。
彼女は当時、スペイン人の夫・ホセとサハラ砂漠で暮らしていました。
とても仲の良い夫婦なので、
三毛さんは夫のために餃子を作りながらこの仕事の話をホセにしました。

それを聞いたホセはいきなり涙して、


「あなたは死なない」


「あなたは死なないよ」


と言ったそうです。
ホセの反応に驚いてしまった三毛さんは、


「バカだね、たかが文章じゃない。もちろんわたしは死なないよ」と答えました。


結局、三毛さんはこの仕事を断りました。
理由は、夫のために餃子をつくらなきゃいけないので、書く時間はない、
です。
わたしの下手な日本語じゃそのニュアンスを伝えられそうにないですが、
当時10代のわたしはこれを読んだ時、とても感動したので、ずっと覚えているのです。


なんだか少し重い話ですが、こういう機会がなければ、
自分の人生、生きることとか、死ぬことについて、あえて考えないでしょう。
人生をムダにしてはならない、と素直に思いました。